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ある時間、待ってみてください

昨日、子供たちの歯科での治療中に、待合で、預かっていた高校生の娘のカバンの中から、なぜか、ふと手にした、現代文の問題集。

普段、家では、お互いに忙しく、私も転がっている本や問題集を片付ける(その辺に積んでおく、笑)ばかりで、覘いたことはないのですが、昨日は、待っている暇な時間をもてあまして、ふと手にしてみたのです。

中に、「ある時間、待ってみてください」という題に、
ページをめくる手が止まりました。

* * * * * * * * * * * * * *

大江健三郎さんの文でした。
(以下太字、抜粋または処々まとめたものです。)

生きていくうえで、苦しい時、本当に困難な問題に直面した時、取り返しのつかないことをしなければならないと思いつめた時、
「ある時間、待ってみる力」をふるい起こすことが、子供にも、大人にも必要なのです。
それには勇気がいるし、日ごろからその力を鍛えておかなければならないのでもありますが、しかし、その力はあなた方にあるのです。

特に、子供にとっては、待っている「ある時間」の中にすべてがあると言っていいくらい、本当に大切なのです。

子供にはもちろん、大人にとっても、生きていくうえで、本当に難しい問題にぶつかった時、一応それを括弧(かっこ)に入れて、「ある時間」おいておく、ということなのです。そうやって、生きて行くという大きい数式を計算し続けるのです。初めから逃げるのとは違います。

そのうち、括弧のなかの問題が、自然に解けてしまうこともあります。

括弧のなかの問題は、「ある時間」待っている間も、いつも心の中にひっかかっていて、思い出されますが、まだ解決できてないけれど、「もう少し待ってみよう」と考えるだけで、気持ちは軽くなります。

そして、「ある時間」たって、括弧をといてみても、まだ問題がそのままであれば、今度こそ正面からそれに立ち向かってゆかなければなりません。しかし、なんとかしのいだ「ある時間」の間に、自分が成長し、たくましくなっていることに気がつくはずです。



さらに、大江さんのご長男・光さんの知的障害の問題は、大江さんと奥様にとっては、それまでの人生で解いてきた問題の中の一番難しいものに感じられたそうです。大江さんのお母様も大変心配されてようです(森の中で一緒に暮らそうと提案されたそうです)が、ご夫妻は、やはり、「ある時間を待つ」ことを続けたそうです。光さんは幼少期から音楽に親しみ、現在は作曲家として活動しています。私も以前聞いたことがありますが、とても清らかな透明感のある、心に響く美しいメロディーでした。皆さんのなかには、CDを持っている方もいらっしゃるでしょう。お母様は、光さん作曲のピアノ演奏のテープを聞いた時、森の中で暮らしていたら自分も光さんも音楽を作るなど思いもつかなかっただろうと仰ったそうです。


「ある時間」の積み重ねが、私にも家内にも、母親にも、また光自身にすら、解き方の予想もつかなかった、難しい問題をきれいに解いたのでした。これからも光には新しい問題が生じてくるはずですが、彼の妹や弟もふくめた私の家庭は、追い詰められる気持ちなしでそれらに立ち向かえる、と思います。


大江さんと大江さんのご家族のように、

そして、今まさに勇気を持って「ある時間、待っている」ステファンのように、

私も(私の家族も)生きていけたらいいなあと思いました。


より成長し、たくましくなって、帰ってくるステファンが楽しみです。。。




PS.光さんのCDを探しに行きたくなりました。この文章の出典は『「自分の木」の下で』(朝日新聞社、2005)だそうです。大江さんはノーベル文学賞を受賞された方ですが、とてもわかりやすい文章ですね。

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comment

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てんびん座さん こんにちは
素敵な記事の紹介をありがとうございました。
この2週間、本当に「人生ってなんだろう」と考えさせられたわけですが。

ステファンの最新のインタビューを読んでいて思ったのは、彼は全く今までの彼と変わらない、という事実でした。正直で賢くて勇気があって幸せで、そしてある種のバランス感覚がある… というか今は彼の正直さと勇気にほとんど、圧倒されている感じもあるのですが。

待つこと。それは私たちにもなにかを与えてくれるのでしょうか。

TSUGUMIさん、こんばんはー
コメントありがとうございます。
本当に!ステファンには今までも教わることがありましたが、今回もいろいろ考えさせられています。

大江さんはご自身の経験によってこの「ある時間、待ってみる力」を持つことが有効であると子供の頃から思っていたそうです。それを今も実践しているそうです。
TSUGUMIさんの「彼は全く今までの彼と変わらない」というお言葉で思ったのですが、彼は子供の頃から実践してきたことであり(本人に自覚があったかどうかはわかりませんが)、少し前の彼も変わらない、今の彼も変わらない、今回のことも彼にとっては至極自然なことなのかもしれない、と。彼を育てたご両親、スケートを小さい頃から指導しているコーチには十分わかっているのかもしれませんね。

>正直で賢くて勇気があって幸せで、そしてある種のバランス感覚がある…
TSUGUMIさんのお宅でインタビュー読ませていただきました!本当にそう思います。最近はインタビューを読めば読むほど、彼の人間性に強烈なもの(強い激しいということではなく、すごく魅力的というような)を感じます。

待つことは、きっと私たちを強くしてくれる、彼の将来あるかもしれない困難を、彼と一緒に立ち向かって行ける強さ、たくましさを与えてくれる、と思います・・・

こんばんは。
「ある時間、待ってみてください」…素敵な文章ですね。大江健三郎さんの文は初めて読ませていただきましたが、静かに語りかけてくるようなやさしさを感じました。

「待つ」ことの意味や勇気が必要なことは、日常の中ではなかなか分からないことですね。毎日必死で生きている人ほど見落としているのかもしれません。
ふと肩の力を抜いて、立ち止まって自分とまわりの人たちを見つめなおす…それによって見えてくるものもあるし難題が解決することもあるのですね。ほんとうに、今のステファンの状況に置き換えてしまいたくなる文章です。

ステファンのこれからに良い答えが待っていることを願わずにいられません。

えっちゃんママさん、こんにちは~
いつもありがとうございます(^^)
私も読んだことがない(さぞ難しい文章を書く方かと思っていたのです)ので、自然な言葉でとても感動しました。
自分の子供に対して私はいつも「待つ」ことをしようと思いつつ、それが難しいと日々感じていて、なかなか実践できないことが多いのです。想像ですが、ステファンのお母様は小さい頃から「待って」彼を育ててきたのかな、だから彼の中にも自然に身についているのでは…なんて思ったりするのです。彼と彼のお母様には以前も教わることがありましたが、またまた教えられたような気がします。(こじつけご容赦ですm(__)m)
自分や自分の子に対しても、目の前に起こることに対しても、「ある時間、待ってみる」。。。難しいのですが、深呼吸~深呼吸~、勇気をふるって、日々精進の私です。。。
そうですね、きっとこの難題も解ける時が来ることを信じます。
彼自身も信じていることと思います。

大江さんは、未来を生きる子供たちに一番伝えたい言葉をあげるとすれば、「この言葉」なのだそうです。

てんびん座さん こんばんは。
何だか久しぶりのコメントのような気が…

すてきな文章のご紹介、どうもありがとうございました。
何だか自分の汚れまくった心(爆)が、すー…っとなったような気がします。ボキャブラリーが乏しいので、うまく表現できません(涙)

我が家にも光さんのCDが一枚ありますよ。母が好きなんです。どうやら私が母にプレゼントしたものらしいのですが(全く覚えていない)

決して理解に難しい曲調ではなく、本当に純粋なメロディーと繊細な旋律で、癒されますよ。光さんの人柄がもの凄く伝わってきます。「あ~。ご両親の愛をたっぷり受けてたんだろうな~。そしてその愛に答えているんだろうな~」と。私みたいなのが聞いていいものなのだろうかってくらい、綺麗な音楽です♪

私もそろそろだだをこねるのをやめて、素直に「待ってみる」と思えるようになる努力をしてみます←未だに頭がグルグルしています。

素敵な記事に変なコメントですみません…(爆)

なぜかURLにこちらのアドレスが入ってしまいました…
変な現象を起こしてしまってすみません(>_<)

パンダさん、こんにちは~
コメントありがとうございます(^^)
とても素敵なコメントですよ~~ 嬉しいです。
私もですね、未だに、グルグル、しんみり、さっぱり、の繰り返し(汗)なので、(こういう記事を書く資格はないのですが、) こうやって書いて、皆さんへの励ましの意味をこめているのと、同時に、自分を励ましてもいるのです。
でも読んでいただいて、少しでも気持ちが軽くなって下されば幸いですi-260
光さんのCD探しに行ってみます(^^) そうですね、待つことも、「愛」なんですよね~~ ありがとうございます、パンダさん。
彼の元に、より幸せが訪れますように・・・「愛」をこめて。。。

てんびん座さん、こんばんは。

パンダさんと同様、母が光さんのCDを持っているので、私も一時期よく彼の音楽を聴きましたよ。とても素直な旋律ですよね。

「待ってみる」って大変だけど、大切な事なんですね。勇気がいるけれど、ステファンの事も自分自身の事も、「ある時間待ってみる」という事を考えようと思いました。

こんにちは。すっかりご無沙汰してすみません。
この文章、ずいぶん前に読みました。
子供に向けて書かれていた本だったと思うのですが、読んでみて、とてもとても普遍的で、自分がどこにいても、どんな年齢であっても変わらず問いかけていたいことだと思った記憶があります。

21歳のころ、自分のことだけでいっぱいいっぱいでした。今は大きな時間が流れて、あのときよりはずいぶんいいような気もしますが、あと10年たったら、今の私のことを「あのときよりずっといい」と思う私が絶対いるわけですから、今一瞬のことはいつか大きな流れになって行き着く場所に行くだけなんだろうな、と思います。大事なのは、今の一瞬一瞬に感じられることがあるのか、ということなんでしょうね。

こういう文章を読むことが、りろちゃん、ころりんちゃん、ドラくんが1年、3年、そして10年たったときに、何かの芽になっていれば・・・素敵ですよね。

Laetitiaさん、こんにちは!
いつもコメントありがとうございます。
お母様もお持ちなのですね、光さんのCD♪ 私はNHKの昼の番組内のミニ演奏会で見た(聞いた)ことがあるのですが、やっぱりピュアなお人柄通りの素直な旋律の曲でした。探しに行きまーす(^^) そしてこの本も探して来ます。

待つって、続けることと同じくらい(それ以上?)の勇気や一生懸命さが必要なんでしょうね。思えば、ステファンはいつも勇気を持っていて、いつも一生懸命ですよね。。。彼の精神力はすごいとあらためて思います。(そのうらにはご家族の勇気のある一生懸命な愛情があるのでしょうね。)

目の前に起こること(起こっていること)にまず向き合う勇気を~それで、困難な時は、ちょっと待って深呼吸~~ですね~ 私自身このように日々言い聞かせて頑張ろう…。



なつしろぎくさん、こんにちは!
コメントありがとうございます。こちらこそ、ご無沙汰してしまいまして、すみません。今年になって1ヶ月余りですが、いろいろありました; とても長い時間に感じます。

この文章お読みだったのですね~ そしてとても心に残る本だったのですね。
>とてもとても普遍的で、自分がどこにいても、どんな年齢であっ>ても変わらず問いかけていたいこと
本当に! いつの世でも、持ち続けたい、子供はもちろん、おとなへのメッセージですよね。

私の場合、たまたまこの「評論文20選」という本がころりんのカバンから、私に読めと言わんばかりに飛び出してまして…なんだかとても不思議です。この本に出会えたことに感謝です。

大江さんが仰る「取り返しのつかないこと」とは、この引用させていただいた文章以外の部分で記述されていて、それは、(昨年特に子供に関して)多く報道されたような命に関わる事件や出来事のことを指しているそうですね。このメッセージがたくさんの子供たちや大人たちに伝わり、世の中で起こる悲しいことが少しでも減るといいなあと思いました。

>今一瞬のことはいつか大きな流れになって行き着く場所に行く>だけなんだろうな、と思います。大事なのは、今の一瞬一瞬に>感じられることがあるのか、ということなんでしょうね。
「ある時間、待ってみる力」をふるい起こす、それには勇気がいるし、日ごろからその力を鍛えておかなければならない、これはとても難しいことですよね。でも仰るように、大事なのは「今」をどう感じて生きるかってことなんですよね。それによって向き合うこともできるのですね。今、ショーで一生懸命滑っているステファン、まさに「今」を感じて生きていますね!

そうですね、うちの子供たちが読んでどう感じるか…、今は究極な取り返しのつかないことの意味くらいしか理解できないかもと思いますが、きっともこれから経験を積む中で、実感することがあり、またいつか読んだ時にそういうことか~と思うこともあるのでしょうね。本当にそうなったら素敵です。自分はこの年になって過去のことをやっと理解できたり、親になった今でも壁にぶち当たってさ迷ったり後悔したりで、まだまだです。でも確かに「あのときよりずっといい」と思えます(笑) これから、いつも自分や子供たちのそばに置いておきたい文章です。

長くなってすみません。

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